私がハマってしまった最初の罠

私は幼いころからずっとコミュ障であり、かつ人見知りです。地元から離れた今の大学(大学院)に進学しようと決めた時も、その性格が直っていたわけではありませんでした。今でも、大勢の輪にはいることには抵抗があります。

 

 それもあって高校のクラスメートからは進学後大丈夫なのかと度々心配されていました。しかし困ったことに人間は感情に容易く影響を受けやすい生き物です。完全にバイアス(思い込み、偏見の総称)にハマってしまった私は、「あの大学こそが自分にふさわしい大学なんだ!」といった完全にバカな考えに至ってしまったのです。バイアスという言葉そのものを当時知らなかった私は、そんな考えを改めようと考えるわけがありませんでした。

 

 私がハマったバイアスは、代表的なものは確証バイアスと言われるものです。このバイアスは自分が良い、正しいと思ったものを肯定する情報だけを信じ、逆にそれらの情報を否定するような都合の悪い情報を無視するといったものです。私は大学のいいところだけを目にし、自分の性格のことなど一切考えていませんでした。さらにバイアスからさらに連鎖してバイアスが発生してしまう出来事がありました。その大学をオープンキャンパスで実際に見に行ったことで一時的に気分が高揚し、また新たなバイアスにハマってしまったのです。それが「プロジェクションバイアス」と呼ばれるものです。このバイアスは、その時の感情を起点にして未来を勝手に想像してしまうことです。志望校に受かったときや、第一志望の会社から採用通知をもらった時など、多くの皆さんがこのバイアスは身に覚えがあるのではないかと思います。

 

 特に確証バイアスや一時的な感情は、多くの人が意思決定の際に陥ってしまう罠だとされており、これらを知らないと意思決定で失敗を何度も繰り返しやすくなります。

 

 もう一つ考えられるのは、認知容易性というものです。これは、自分にとって馴染みにあるもの、見やすいもの、目が付きやすい情報から目が行ってしまうものです。私の場合は、大学が昔から馴染みのある親戚のある地域であり、なおかつ理系という2つの偶然が重なって起こったものだと思います。

 

 これらのバイアスによって私は進路選びをしくじり、一時期本当に地獄ともいえるような大学生活を送ることになったのです。

 

参考文献

メンタリストDaiGo、「後悔しない超選択術」、西東社

ダニエル・カーネマン、訳 村井章子、解説 友野典男「ファスト&スロー あなたの意思はどのように決めるか?[上]」早川書房

チップ・ハース&ダン・ハース 訳 千葉敏生「決定力! 正しく選択するための4つのステップ」早川書房